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理不尽なムチャぶりを全力で回避したいエンジニアのためのサバイバル術

システム開発に携わっていると、大なり小なり理不尽なムチャぶりを食らうことがあります。
しわ寄せはいつもエンジニアにくる。。。」と内心憤っている方も少なくないでしょう。

私自身はどちらかというとムチャぶりをお願いしてきた側の人間で、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、一方でこういったムチャぶりを事前に回避し、必ず平和に着地させるすごいエンジニアの方々も数多く見てきました。

なので、今回は「もう二度と理不尽なムチャぶりは食らいたくない」と強く願うエンジニアの皆さんに向けて、平穏な日常を暮らしていく明日から使えるサバイバル術をご紹介します!

そもそも、なぜムチャぶりを食らうのか

まず、なぜエンジニアばかりが理不尽な目に合いやすいのか。それには構造的な問題があります。

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上の図は、ユーザーに商品を提供するまでの工程(バリューチェーンと言います)を表した一例ですが、ここでは開発が一番先頭に位置します。

したがって、一番右にある顧客側で何か問題が発生していたとしても、一番左にいるエンジニアまでに伝達される情報のスピード、精度などは必然的に落ちていきます。

「急に!?」「なんで!?」と感じる 理不尽な 要求をもらいやすいのは、ここに理由があります。

逆に言えば、それらを華麗に回避するエンジニアは、これらの構造を完璧に把握し、1つ1つ丁寧に手を打っていました。

以下、彼らが実践していた巧みなテクニックの数々を、私が思い出せる限り取り上げいきます。

「ゴールってなんでしたっけ?」と空気を読まずに聞き続ける

色んな役割や立場の人がいる場において、目的がずれているとどこかで必ず手戻りが発生します。
「あれ、なんか擦り合ってない?」と気づくタイミングが遅れるほど、そのリカバリーは大変です。

なので、サバイバル能力が高い人ほど、「ゴールってなんでしたっけ?」としつこいくらい聞いています。
若干空気がピリついたりするのですが、後から喧嘩になるよりはマシということです。

「やること」以上に、「やらないこと」を宣言する

どんな人も相手が喜んでくれると嬉しいもので、ついつい「やります!」と良いことばかり言いたくなります。
ただ、人は定義されていないことは自分に都合が良く捉えるので、「あれもやるということは、これもやってくれるよね」と勝手に解釈されがちです。

「やること」だけでなく「やらないこと」もあわせて伝える人は、「言った言わない」で後々揉めることが少なかったです。

エンジニア以外のチームへ、「やってほしいこと」をリクエストする

ユーザーに商品を提供する工程には、マーケティングや営業など色んな役割の人が登場します。
それぞれの人が「これは俺の仕事じゃない」と思っていたとき、誰も対応しないことで最悪のトラブルが訪れます。

「こういった機能制約を、営業時に顧客へ伝えてください」と、自分以外の職種や部署へ明確にリクエストできる人はトラブル回避能力が非常に高いです。
さらに素敵なエンジニアの方は、同時に「ここはエンジニアでがんばります」といったことも言ってくれます。

1つの手段にこだわらない

なにかの目的を達成するには、複数の手段が存在します。
自分では一番ベストな手段だと思っていても、別の観点や立場から見るとそうでないケースも多いです。

エンジニアは手段にこだわりを持つべきですが、状況に合わせてそのこだわりさえ捨てられる人は強いです。
とくに半端ない人は、複数の手段を実は隠し持っていたりして、さて困ったぞという局面でさっと差し出してくれます。

具体的なものを見せながら話す

抽象的なもの、定性的なものは、どんなに丁寧にすり合わせても必ず解釈に齟齬が出ます。
各人の脳内にしかない”何か”で会話しても、実際に具体化できたタイミングで「なんか違う」が発生します。

システム開発では起こりがちなこの問題は、なるべく早くから具体を示すことで回避できます。
かといって立派なプロトタイプを用意するわけでなく、「ノートに手書きした画面イメージ」や「ざっくりとしたER図」をさっと作ってくれるエンジニアは、同じものを見ながら会話できるので安心感が違います。

納期を守る

納期を必ず守ってくれる人は、それだけで絶大な信頼が生まれます。
「どうせ遅れるんだろうなぁ」という前提になってしまうと、あらゆるコミュニケーションが歪みます。

信頼されるエンジニアが「難しい」と言えば、その要求は通らないので、そもそもムチャぶりが生まれません。
結果的に、納期意識が強いエンジニアは、それによって自身や自チームを守っていました。

おわりに

簡単にまとめると、優れたエンジニアの方々は、「ユーザーに商品を提供するまでの工程」の構造を理解したうえで、「適切な期待値調整をしつづける」というサバイバル術を駆使していたように思います。
したがって、こういった観点を心がければ、理不尽なムチャぶりを事前に防げ、平穏な日々を過ごすことができるはずです。

実はエンジニア限らず、事業に関わる全員がこれらを意識していれば、めちゃくちゃ気持ちの良い職場になるのだと思います。
私自身も、そんな素敵な人たちと日々平穏に働きたいと強く願っている存在なので、そんなエンジニア組織を一緒に作りたいという人がいれば是非ご連絡をお願いします!

 

※この記事は2020年12月17日にQiitaへ投稿した記事の転載です