Link and Motivation Developers' Blog

リンクアンドモチベーションの開発者ブログです

ユーザーから信頼されるプロダクトをつくるために、うまくいったこと、後悔していること

はじめに

こんにちは。リンクアンドモチベーションの柴田 @shibayoh です。

直近では、2022年7月にリリースしたストレッチクラウドという人材育成領域の新サービスに携わっています。

 

私たちは、この新規プロダクトを作っていくと同時に、それを実現する開発チームもあわせて組織化してきました。ただ、その開発チーム自体も、リリースというターニングポイントを前後に、大きな変化が求められました。

例えば、リリース前の開発チームでは、まず最低限の価値を機能化しきることが求められますが、リリース後には引き続き新しい価値をつくることに並行して、運用をはじめたユーザーに安定した価値を届け続けるという営みも同時にはじまります。

つまり、最初は「価値を作る」ために組成された開発チームを、「価値を届ける」機能を両立させられる仕組みをもった組織に進化させていかなければなりません。

 

この「価値を届ける」チームや職種のことをGoogleでは「CRE = Customer Reliability Engineering(顧客信頼性エンジニアリング)」と呼び、顧客の信頼獲得をミッションに置いた役割を組織内に持たせるべきとしています。

 

私たちも、リリースしたプロダクトを「ユーザーから信頼されるプロダクト」とするために、リリース後に「価値を届ける」機能を持つCREチームを立ち上げました。

その立ち上げ過程のなかで、うまくいったこと、後悔していること、それぞれあります。今回はそららを簡単にお伝えします。

うまくいったこと

役割を定義する

CREを立ち上げようとしたとき、いきなり以下の課題にぶち当たりました。

「CREって何をする人たちなのか?」

顧客からの信頼性向上のためであれば何でもできてしまう領域がゆえに、誰が何をどこまでやるのかが曖昧だったのです。

 

また、弊社の場合は顧客サポートを担う現場側の別部隊が存在するため、現場組織と開発組織側での役割分担も不明確でした。

 

そのため、まずは「ユーザーから信頼されるプロダクト」とはどういう状態であるかを考え、以下の3つを置きました。

  • 問い合わせを発生させない状態ができている
  • 問い合わせへの即時で誠実な対応ができている
  • 顧客の声に基づいた体験改善ができている

さらに、上記3つの状態を実現するために、必要となる組織の機能を具体で落とし込みました。

この3つの状態と、それを実現する組織機能をもとに全体像を作ることで、「CREが何をする人たちなのか」という役割を具体で定義することができました。

プロセスをつくる

役割の具体が定義できたら、その役割に沿った各組織機能を動かす業務プロセスをつくる必要があります。

とくに「ユーザーから信頼されるプロダクト」には、継続的に価値を届けることが求められるため、安定化できる仕組みが必要です。

そのため、基本的なルール整備はもちろんのこと、それらが正常に回っていることをモニタリングできるような「指標」「帳票」「会議体」を丁寧に設計しました。

また、JIRA等のツールなどを活用して業務プロセスの自動化/型化することで、これらの営み自体の生産性を向上させています。

メンバーを育てる

役割を定義し、プロセスができたら、あとはそれを実行するだけです。

ただ、立ち上げたばかりのプロダクトの開発チームということもあって、各組織機能に対して経験やスキルを持ったメンバーが揃っているわけではありません。

したがって、以下のステップで対応することにしました。

  1. 他プロダクトのCREチームに支援してもらう
  2. 上記チームから、自チームのメンバーに教えてもらう
  3. 自チームのメンバーのスキルを伸ばす

1と2については3ヶ月の期限を設け、それ以降はチーム内で役割分担をしながら、3でなんとかすることにしました。

また、3についても、求められるスキルマップの全体像をつくり、メンバーとは目標設定に紐付けて運用しています。

後悔していること

上記を読むと感じられたと思いますが、特別なことは本当に何もやっていません。組織マネジメントの基本フォームを疎かにせず、1つ1つ丁寧にやっただけです。

とはいえ基本フォームはやはり強く、順調にチームは立ち上がり、当初やりたかった「ユーザーから信頼されるプロダクトをつくる」に一定の成果を上げています。

 

ただ、「価値を作る」ために組成された開発チームとは別に、「価値を届ける」機能を持つチームを作ったことで、それぞれ機能別に分かれてしまった面が否めません。

 

本来私たちがやりたかったことは、「ユーザーから信頼されるプロダクトをつくる」ことでもなく、「顧客にとって最高の価値を最高な体験で届けきるプロダクトをつくる」ことなのです。

したがって、「CREを立ち上げ」への取り組みで後悔していることはただ1つで、「CREチームを立ち上げる」ことを目標に置いてしまったことになります。本当は「開発チームを、CREという役割によって進化させる」ことを目標を置くべきでした。

 

ただ、これ自体もCREチームを立ち上げられたからこそ気づけたことではあります。学びに変え、今後は「顧客にとって最高の価値を最高な体験で届けきる最高の開発チーム」を作っていくつもりです。