Link and Motivation Developers' Blog

リンクアンドモチベーションの開発者ブログです

エンドユーザーからのIEに関するお問い合わせがめっちゃ減った話

こんにちは。リンクアンドモチベーションの栗波です。

CRE(Customer Reliability Engineering)グループで
テクニカルライター(ヘルプサイトを作っている人)として働いています。

 

今回は、モチベーションクラウドのエンドユーザーのお客様からの
お問い合わせが激減したお話をしたいと思います。

 

主にInternet Explorer(以下、IE)に関するお問い合わせを削減しました。

もし同じようにIEでユーザーが困っているよ、という方がいらっしゃったら、
できるだけ具体的に書いていきますので、ぜひご活用ください。

 

前提

モチベーションクラウドは、組織の状態を数値化し、組織改善をサポートするサービスです。

クラウドの操作は、人事部や管理職の方にしていただくことが多いのですが、
サーベイには従業員の方(エンドユーザー)にご回答いただくため、
様々な立場、役割の方々がご利用になります。

 

手を打った背景

以前、大手企業のご担当者様にインタビューした際に、
サーベイ期間中はエンドユーザーからの問い合わせ対応がすごく大変」
というご意見を頂き、「これはなんとかせねば」と思っていました。

2022年6月、IEのサポートが終了したことによって、
エンドユーザーからカスタマーサポートへのお問い合わせ数が、
多い時は今までの10倍以上に跳ね上がりました。

ご担当者様のご負担も相当増えたかと思います。

 

モチベーションクラウドは、様々な業界の方々にご利用いただいており、
エンドユーザーの方々も様々な職種や雇用形態の方がいらっしゃいます。

普段からPCで仕事をしている方ばかりではないため、
ブラウザの変更方法がわからなかったり、IEのサポート終了を知らないなど、
サーベイに回答する前に、複数のつまずきポイントがあります。

 

本来、IEはモチベーションクラウドのサポートの対象外であるため、
私たちは介入せず、お客様で解決していただくという手段もありましたが、
エンドユーザーのお客様に積極的にモチベーションクラウドをご利用いただけないと
本来の目的である組織改善の妨げになってしまいます。

ご担当者様とカスタマーサポートの負荷を下げるため、
そして何より、ストレスなくモチベーションクラウドをご利用いただくため、
お問い合わせ削減プロジェクト立ち上げ、実行しました。

 

結果

激減しました。

お問い合わせ数は月ごとのばらつきが大きいので、
正確には示せないのですが、9割ほど減ったような印象です。

IEのサポート終了により、10倍になり、そこから9割減ったので、
IEサポート終了以前の水準に戻ったような状態です。

 

ここからは今回のお問い合わせ削減プロジェクトの詳細をお伝えしますが、
お客様の特性によっても、お客様がどこでつまずくかは変わってきます。
あくまで参考程度にご一読ください📖

 

課題  IEに関するお問い合わせを減らしたい

全体のエンドユーザーからのお問い合わせの9割ほどがIEの問い合わせでした。

モチベーションクラウドIEからアクセスすると、エラー画面が表示されます。
このエラーの解消が自力では難しい場合に、お問い合わせをいただきます。

IEと一言に言っても、つまずきポイント(お問い合わせ内容)に、いくつかパターンがありました。

代表的なものが以下の2つで、IEに関するお問い合わせの8割程度を占めました。

 

「不具合でアクセスできません。修正してください。」

ブラウザを自身で変更できるものだと知らず、システム障害だと思っているパターン

「ブラウザの変更方法を教えてください」

ブラウザは自身で変更するものだとわかっているが、方法がわからないパターン

 

打ち手

ブラウザを自身で変更できるものだと知らず、システム障害だと思っているパターン

ブラウザは自分で変えられるものだと認識してもらえるように、エラーメッセージを改善しました。

 

Before:「このブラウザではご利用になれません」

After   :「ブラウザを変更して、再度アクセスしてください」

 

ポイントは、よりユーザーの行動に引き寄せた表現にすることです。

起きているエラー内容の説明ではなく、次にユーザーがすべき行動を促すメッセージに改善しました。

この改善以降、システム障害だと思ってお問い合わせをいただいたことはありません🎉

 

ブラウザは自身で変更するものだとわかっているが、方法がわからないパターン

実行した打ち手は2つです。

  • ブラウザ変更方法についての記事を作成
    「右クリック、コピーを選択」ぐらい細かく、一挙手一投足を説明する
  • 記事にアクセスしやすいように、わかりやすい導線をつくる

この記事もよく見ていただいており、お問い合わせの削減に大きく貢献しました。

 

振り返り・考察

解像度高い課題設定 = 深い顧客理解

ここが、今回の改善で勝敗を分けた部分だったのですが、
私が「IEなんとかしたい」とPdM、デザイナーに相談すると
「いくつかパターンがあるかもしれないから、もうちょっと詳細に見てみて」
とアドバイスをもらいました。

個人的な反省なのですが、今までもVoC分析はしていたつもりですが、
膨大なお問い合わせを、一つ一つの原因まで全て見ていくことは、したことがありませんでした。

骨の折れる作業ですし、メールの文面からは原因が読み取れないことも多いですが、
この作業なしには解像度の高い課題設定、打ち手の実行も難しかったと思います。

 

ユーザーへの理解が深まると、自然とユーザーへ共感できて、
なんとかしたいとモチベーションが上がりますし、
打ち手のクオリティも上がりました。

 

エンドユーザーのお問い合わせの削減はコスパが良い

BtoBプロダクトはどうしても機能が複雑になりがちですし、
お客様それぞれの状況によってお問い合わせ内容が変わるため、
なかなか「このお問い合わせが減った!」というわかりやすい結果は得難いです。

ただ、エンドユーザーのお客様には、
比較的シンプルな機能をご利用いただいているので、
お問い合わせ内容は、いくつかのパターンに収束し、
一度手を打てば、一気に多くのユーザーのつまずきポイントを解消できました。

 

「お問い合わせが多くて大変だ!」とお困りの場合は、
まずはエンドユーザーから、シンプルな機能から、手を打つと効果的ですし、
結果がわかりやすいので楽しいです。

仕事とは言え、やっぱり結果が出ないと辛くなってきちゃうので、
小さな成功体験から積んでいきましょう😊

 

意外と気付かれない

エンドユーザーからのお問い合わせが9割も減ったのに、
実はカスタマーサポートのメンバーからも、お客様からも、
「楽になったよ」とフィードバックをいただいたことがありません!笑

9割減って、さすがに楽になっていると思いますが、
恐らく気付いていらっしゃらないのかと思います。

 

お問い合わせは「わかりにくい」「使いにくい」のフィードバックなので、
お問い合わせもほとんど来ないし、何も気付かれないということは、
何も不便がなく、当たり前のようにプロダクトを使えている良い状態だと思います。

 

おわりに

最後までお付き合いいただきありがとうございます!

今後も、使いやすい、使いたいプロダクトにどんどん改善していきます!

コメントやアドバイスなどもお待ちしております🙌